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東京新聞連載 103回 においいろいろ

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「臭い」と書いてなんと読むか?

「におい」とも読めるし「くさい」とも読める。なんともヤヤコシイ漢字です。

「匂い」はよい香りの意味で使い、「くさい」と同じ「臭い」は不快な意味で使います。
他に「香り」という言葉もあるし、このあたりの使い分けはネイティブならではだと思います。

ちなみに、僕は海外に行ってもあんまり食べ物に困ったことがなく、有名なイギリス料理も「いわれるほど不味くない…というか予想外に美味しい」という印象です。

そんな僕ですが、苦手な食べ物がいくつかあります。記事にも出てきたブルーチーズ。といっても日本で売られているクラスなら大丈夫ですが、デンマークのスーパーで「つかみ取り!激0安セール」の中に混ざっていたチーズは、食べた瞬間に「なんじゃこりゃぁ」という強烈臭が鼻に抜け、しばらく悶絶状態でした。ユースホステル宿泊中だったので、食堂にいた欧州人にプレゼントしました。何語の人だかわからなかったんだけど、たぶん「え?イイの?美味しいのに」と言われたような気がします。

もう一つは、「サルミアッキ」。フィンランドの不味いキャンディー。北欧や北ドイツでも売られているそうです。僕が食べたのは「パンテリ」。フィンランド人の友達宅に居候していた時のこと。「週末にボスニア湾沿いにあるコテージに行こうと思うけど、行ってみる?」と聞かれたので「是非!」と答え、ヘルシンキから高速道路での移動。その移動中、車内のフィンランド人青年2人とお嬢さん1人がしきりに食べている物がある。「それ何?」と聞くと、ニヤニヤしながら「じゃぁ、まあ一つどうぞ」と。食感はグミ…なのだが、口の中に広がる「なんじゃこりゃぁ」な臭い!脳天直撃の刺激臭。不思議なことに口の中でしか臭わないから、車内が臭いわけではない。それにダマされた感じでした。

日本人でも、この臭いが平気な人もいるみたいで、数年後にフィンランドへ行った帰りに「話のネタ」で買って帰った「サルミアッキ」を、「あ、わたしコレ好きなんです」と食べている女性がいました。強烈臭のブルーチーズも、平気な人は平気のようですね。

北京で食べたピータン。日本で食べるピータンは、どれも臭い控えめ。まったく臭いのしないものすら。でも、あちらで熟成されたピータンは、やっぱり強烈なパンチを繰り出してきます。この先、まだまだ強烈なパンチを食らうとは思います。

「僕は好き嫌いなどまったくない!」
「食べられないモノなど無い!」
と豪語する人の多くは、多様な物を食べていない人だと思います。

世の中にはとんでもない料理がゴマンとあります。未知の食べ物に対して、「100%問題なし」と言い切るのは教養のなさの露呈だと思います。

実は、僕も若い頃は「好き嫌いはありません」と言ってましたが、20代半ばにして「ゴメンナサイ。食べられないモノがいくつかあります」と言えるようになりました。


この記事の裏テーマは、近年の無臭信仰に対する反論です。生き物とは臭いものです。生きるとは臭いを出すことです。生きいてる限り無臭の息なんてありません。生き物を食べる以上、臭いを食べているようなものです。臭うのがイヤなら死ぬしかありません。いや、死んでも臭うのが人間も含めた生き物です。

臭いと匂いの差はあれど、そこには絶対的な境目はなく、文化や習慣、環境によって違ってくるモノ。全部を受け容れられないのもまた致し方なし。自分が「臭い」だと思うモノを、「匂い」と感じることは単なる差異。だから、「え~あれが臭くないの?!嗅覚狂ってるんじゃない?」とか「あれが良い匂い?おかしいんじゃない?」というのは言い過ぎでしょう。僕としては「え?この匂いがわからない?モッタイナイねぇ」と言われると、わからない自分に対して、ちょっとザンネンな気持ちにはなります。

 
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