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東京新聞連載 133回 今に生きる知恵

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古民家を借り始めてから始まった、家事の温故知新シリーズの一つです。

「お婆ちゃんの知恵袋」のような家事本は今も人気で、一定数の支持があります。昔ながらの家事の知恵には、今でも通じるものがあるし、そのまま使えるものもあります。その反面、現在では通用しない家事ノウハウもあります。

今回、例として紹介した、「新聞紙で窓を拭くとピカピカになる」というノウハウは、「ピカピカになる」を期待すると、今では通用しないノウハウになります。新聞のインクに使われる成分が、昔と今とでは違っているからです。

昔は、石油化学系の溶剤が含まれたインクでした。今は植物性のインク。石油科学系の溶剤というのは、簡単に言うと洗剤に似たような成分。だから窓を拭けばキレイになったのだと考えられます。

ただし、新聞紙で窓を拭く意味は、他にもあったのです。それが、今回触れた、木枠の窓という条件です。ザブザブ水が使えない窓拭き。濡れた新聞紙で拭くのは、そういうことだったのです。

その背景や理屈を押さえたうえで、今、木枠の窓の窓拭きをするなら、何が使えるか?と考えるのが大切。新聞紙を考えると、まず新聞を購読していない人が増えている。手近なところに新聞紙がないという人も多い。それに濡れた新聞紙は、かさばるので片付けがけっこうタイヘン。もう少し薄く、軽く、廃棄しやすいものは?ホームセンターへ行くと、窓拭き用のペーパークロスなど、いろいろ売っています。それを使えばいいのです。

昔から、固絞りの雑巾がすすめられないのは、糸くずが窓にくっ付くから。繊維が千切れないのが新聞紙だったという背景もあります。

このように、なぜ窓拭きには新聞紙になったのか?その理由を探ることで、窓拭きの本質がみえてきます。その本質に沿う道具が、時には濡らした新聞紙であったり、ペーパークロスであったり、アルミサッシ時代には霧吹きとスクレイパーだったりするわけです。

「○○には★★」

を全部、一つずつ覚えようとすると、タイヘンです。しかも、覚えた頃には、(新聞のインクが変わったように)環境が変わってしまっている可能性もあります。ただし、本質は変わりません。「○○には★★」の理由や背景を探ることで、普遍的な家事ができるようになるのです。

水道の白い汚れにはクエン酸、油汚れにはセスキ炭酸ソーダや重曹というのも、アルカリ性の汚れには酸性洗剤、酸化した汚れにはアルカリ性の洗剤という、小学校の時に習ったリトマス試験紙反応の応用でしかありません。服に付いた口紅はベンジンで落とすのも、油性の汚れは油で落とすというだけのこと。化粧品という油を、クレンジングオイル(油)で落とす理屈と同じ。

一つ一つ「○○には★★」ではなく「○○系には★★類」くらいにまとめて系統だてて覚えると、少しは整理できるし、新しい事にも応用できるようになるはずです。

「チコちゃんに叱られる!」でもありますが、「なんで(○○は★★なの)?」という視点を持ち続けることが大切です。ちょっと深掘りするだけで、家事はグッと簡単に楽になります。断片的に「○○は★★」と覚えると、ただただシンドイだけです。
  
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