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家事ジャーナリスト山田亮の講演や執筆などの仕事記録です。 家事で楽して生活を楽しむ!家事がオモシロイと一生楽しい!

料理を学ぶ一番の近道は

2014/03/26
料理 0
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料理を学ぶ一番の近道。それは料理に関する科学現象を理解することだ。

--(急ぐ人は以下を読み飛ばしてイイです)--

現実の料理法を学ぶ場面では、たいてい親や先生や友達(それとも妻?)が「ニンジンはこのように切ります」と見本を示したら、「なぜこの形に?」という説明もなく、その通りに真似をするようになっている(最近、そうじゃない教室もあるみたいですが)。これは師匠のやり方を見て技を盗むという封建時代の徒弟制伝授法。「タマネギの切り方はこう」「煮る時の水量はこのくらい」「味付けはこれをこの順番で」など、その料理における最適なやり方を一つ一つ学んでいく。最適ではあるが、その他の料理の手順については、これまた一つ一つをそのまま覚えいかないといけない。そうすると、膨大な量の情報を覚えていかないといけなくなる。しかも、せっかく覚えても、材料が変更になったり、調理器具が違ったりすると、その都度覚え直さないといけなくなる。つまり、一つ一つを覚えた場合、応用は難しい。

おそらく僕たちは、いくつか教わった段階で「コレとソレは基本的に同じ」「コレはアレとやり方が違う」など、分類を頭の中でしている。だから100種類のレシピを100の形で覚えているわけではない。それには、現代の教育法が活きているからだ。

実は、「なぜ、その切り方なのか?」「なぜ、水量はその量なのか?」「なぜ、その順番なのか?」には、一つ一つ理由がある。理由は、熱の伝わり方であったり、物の混ざり方であったり、膨らみ方や酸化の仕方など、たいはんは学校の理科で習う法則だ。

僕たちは義務教育を受けている。基本の読み書きやものの理解の仕方や応用法を習えば、あとは自分で学べるような教育制度だ。ただ、ザンネンながら、料理に絡めた理科の授業は、義務教育内ではほぼ皆無(お楽しみ的に、例えば「焼きそばの具に紫キャベツを使ったら、麺の色があら不思議!」な経験はあるかもしれないが)。だから、それが応用される瞬間の実感が乏しい。この理科の知識があれば、「美味しい肉の焼き方」「この料理にはいちょう切り」など、一つずつ覚えていかなくても、基本の情報(法則)をいくつか覚えるだけで足りる。これが科学というものだ。科学を義務教育で習うのに、なぜかその応用である料理は、一つずつ師匠のやり方を見て覚えていくとういのは、とっても効率が悪い。

--(読み飛ばし、ココまで)--

そこで、
効率よく料理を学ぶために、
一番手っ取り早いのが

理科の勉強をすること!
ではなく、
料理に関する科学をまとめた本を読むことだ。

オススメ本を3冊紹介します。
順に、「理科は苦手だった!」という人向けから、「理系人」で「凝り性」でしかも「マニア体質」という人向けになっています。


杉田浩一著『料理のコツを科学する―おいしさの謎解き (プレイブックス・インテリジェンス)』2002年、青春出版社

美味しさとは何か?から入るあたりは、大学の先生らしい王道。例えば、「ゆでる」「炊く」「煮る」の違いや「焼く」と「煎る」の使い回しや「roast」「grill」「broil」「bake」という細かな欧米と全部「焼く」と訳す日本との文化的背景など、言葉の定義づけに関する内容もあって、文系人間にも入りやすい。全般に分かりやすさを優先しているようで、入り口の参考書としてはイイ。中級者には、今ある知識の確認にもなる。



内田麻理香監修『まりか先生のおいしい実験キッチン―台所は研究室!』2008年、主婦と生活社

子ども向け?というような表紙に、イラストがふんだんに使われた中身。ところが、その内容は上記本よりもはるかに科学本。「ふくらむパンのふしぎ」「お赤飯はさめてもおいしい?」など題材は身近ながら、その説明には酵母による発酵であったり、アミロースとアミノペクチンそしてαデンプンとβデンプンの説明だったりします。見た目で油断すると意外と内容は深く手強い。でも、わかりやすい。



ラス・パーソンズ著 忠平美幸訳『理屈で攻める、男の料理術―食材と調理法の基本をきわめる』2004年、草思社

帯には「わかってしまえば、応用は自在だ!どうすれば、なぜ、どのように美味しくなるかを心から納得、料理の幅がうんと広がる。厨房に立つ者、必読の書」とあるように、このブログ記事前半の内容そのもの。上の『まりか先生のおいしい実験キッチン』でももの足りない、料理科学マニア、あるいは「ためしてガッテン」マニアにお勧めの一冊。訳書であり、ところどころ「この訳者は料理好きではないのかも?」と思わせるような文章もあり、そこを「あのことか?」と推理しながら読めるなど、マニア向けの辛気くさい設定もある。でも、ハマる人にはきっとハマる内容。帯の「わかってしまえば」は「この本の内容がわかるなら」と書き換えても支障ない。漢字率も異様に高い。活字も小さい。途中の参考レシピも、料理素人には少しハードルが高い。でも、もう一回書くが、ハマる人には間違いなくハマる。

師匠の書いたお作法の料理本を教典にして信仰するのもいいが、一冊くらい科学系の料理本も置いておくと、「人によって説明が違う」「この前は、こう言ってなかった」を回避できるはずです。
 
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