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家事ジャーナリスト山田亮の講演や執筆などの仕事記録です。 家事で楽して生活を楽しむ!家事がオモシロイと一生楽しい!

共家事には展開段階がある!それを知れば「家事ハラ」「共家事トラブル」は回避できます

2014/08/26
僕の家事論 0
共家事には展開段階があります。どういう過程を経て、最終的にどうなると落ち着けるのか?その道筋がわかっていれば「家事ハラ」「共家事トラブル」の大半は回避できます。

昨今、「家事ハラ」という、あれもハラスメント?という「共家事トラブル」についての話題をよく目にします。僕は、例え「子ども以下」と批判されようとも(参照:東洋経済ONLINEの堂園さんの記事)、家事ダメだしで折れる夫がいるということが表に出たことや、「お手伝い感覚」「(あの程度で)やってやってる感覚?」な女性からの意見(例えば、Yahooニュースの治部れんげさんの記事)が表に出たこと、それぞれの思っていることがドンと表に出たこと、それ自体は一歩前進とみています。「当たり前のことが記事になっただけで、なにが前進?」という進歩的な方もいます。ですが僕は、当たり前のことを、いろんな人が立場や事例を変えながら、何度も何度も繰り返して語り続けることで、本当の当たり前になると考えます。当たり前は放置しているだけでは、当たり前にならないのです。

ところで、いろんな意見が出ることには一歩前進と思える僕ですが、やはりこのトラブルの見通しやゴールを誰かが示さないと、また同じ問題を繰り返してしまうと思います。「やり方が違う!」「ヘンなことしないで!」「なんでダメなの?これでイイやん!」という共家事トラブルに接して心が折れたり怒りを感じても、それがゴールへの道筋からは外れてなく、それを誰しもが経験する通過点とわかっていれば、なんとか落ち着けるものです。

まずはじめにゴールです。家事共同の目指すべきゴールは、お互いのやり方やアイデアを持ち寄り、良いやり方を選択して、一人でやるよりも、二人でやる方がアイデア2倍で手間半分という状態になることです。社会学で使われる、ダイバーシティ(diversity)という多様性を認め受け入れていく状態です(ここでいう、ダイバーシティは正確にはdiversity and inclusionです)。

このダイバーシティ形成モデルを参考にすると、このゴール地点である4段目へたどり着くためには、3つの段階を通過することになります。

まずは抵抗段階。
「勝手にいじらないで!」「ここには入ってこないで!」という言葉が出る段階です。玄関先であっても、街角であっても、職場であっても、自分(達)の領域に見慣れぬ他者が入ってくると、まずは様子見的に抵抗します。実際に、抵抗行為を示すかどうかはともかく、抵抗マインドをもつのは自然な防衛反応。

それは家事領域でも同じです。どんな家事をするのかもわからない人です。もっといえば家事できない人かもしれません。わからないことに対して、「散らかされるかも」「汚されるかも」「決まった場所に戻してくれないかも」、あるいは「手抜きがばれるかも」など、いろんなメンドウや不安を予想して抵抗するのは自然な対応です。その予想が当たるか外れるかは別問題です。

次にやってくるのが同化段階。
とりあえず、差し当たっての問題がなさそうなら、領域に入ることは認められます。ただし、自分(達)と同じように振る舞うこと、自分と同じように結果を出すことを求められます。「女性を採用したが、子どもが病気だといってはすぐに休んだり早退する。これでは使い物にならない」という男性の意見はまさに同化段階の典型です。

家事においても同様のことが起こります。「やるなら私と同じように片付けて!」「そうじゃない!こうやってきたの!」「なに?この味!」という言葉が出る段階です。

共働きで子どもも小さくて核家族。「あなたは家事しないで!」などと悠長なことを言ってられない場合は、この同化段階からスタートする場合もあります。同化には、「もしかしたら、自分と同等に結果を出してくれるかもしれない」という淡い期待も含まれます。

しかし現実には、最初の抵抗段階をスッ飛ばしたものの、同化レベルではないとわかるや、「もう、勝手にやらないで!」「私の通りにできないなら、やらなくていい!」と抵抗段階に逆戻りするパターンが多く見られます。少しばかりの期待の裏返しとも言えます。CMで流れた「家事ハラ」は、この同化と抵抗(期待とガッカリ)のネガティブ無限ループに陥っている場合に、見られる現象です。

家事は多種目による総合作業です。洗濯は同化できても、料理はそのレベルに達しないこともあります。別人格の人間が関わることですから、家事のあらゆる種目で許容範囲に届くというのは難しいところです。同化の基準となる先行者に得手不得手があるように、後発者の得手不得手もあり、なかなか家事全般での同化達成は難しいのです。

そこで、その次にやってくるのが分離段階。
得手不得手があるのを逆手に取り、「私は料理、あなたは掃除」「掃除機は僕、収納は君」というように、家事分担、家事分業の段階に入ります。前述の「抵抗」と「同化」のネガティブサークルに陥っている場合の突破口として、僕がセミナーで「まずは後から参入した人の方でもできる(やる気があったり、得意な)家事領域から任せてみる」こととススメるのは、この「分離」段階に誘導する狙いです。

分担すると、いろいろなことがその作業をする人の専用仕様になります。物はその人の扱いやすい高さに揃うし、その人が片付けやすいように片付けられます(片付けないという選択肢も?)。その人に都合のいい時間やペースで行われるようになります。専門化し守備範囲を狭くすれば、熟練も早くなります。それに伴って効率的もされます。最初は時間のかかっていたアイロン掛けも、そればっかりやっていれば、少しずつでも短時間でできるようになるだろうし、同じ手間ならよりキレイに仕上げられるようになるはずです。

「男は仕事、女は家庭」という性別役割分担も分離の一形態かもしれません。家庭面での専従者がいればこそ、仕事に専念でき、長時間の残業もできるし、長期出張も単身赴任も可能になります。長い時間働けることと収入増加がダイレクトに繋がるような仕事の場合は、今でも仕事と家庭の分担受け持ちの方がメリットが大きい場合もあるでしょう。

この分離段階(つまり家事分業段階)は、効率の良さと同時にお互いのやっていることに口出ししない(されない)ので、共家事トラブルから解放されるメリットがあります。ところが、この家事トラブルから解放は、同時に分離段階の限界を作ることにもなります。自分の良いところは出せたとしても、所詮一人作業。一人で思いつくことや一人でできるカイゼン、一人で出せるアイデアには限界があります。「岡目八目」という言葉があるように、横から見ていると、時として、それに取り組む本人以上に「なんで、あんなメンドウなことしてるんだろう?」「こうしたらもっと楽なのに」「こんな道具があるのに」と気づくものです。ですが、口出しは共家事トラブルの原因にもなりかねません。このように、分離のままでは、せっかくのアイデアや気づきが活かされません。そこで次の段階への移行が望まれるようになります。

最後は統合段階。
最初にも述べた「一人でやるよりも、二人でやる方がアイデア2倍で手間半分」という状態です。

この統合段階の話の前に、少し話を戻します。分離段階で家事を分担分業する際に、いくら対等にわけるつもりでいても、たいていは先から家事をしている人の方が広い範囲を受けもち、後から加わる人は部分的な受けもちになります。日々必要な家事は降って湧いてくるので、後発者が技能を習得するまで待てないからです。最初は狭い範囲の受け持ちであったとしても、分離段階においても少しずつできる範囲を広げていく努力が必要です。

なぜなら、今日のような核家族が主流になると、バックアップ人材が限られるからです。心身の調子が悪い時や忙しい時でも、自分の役割を果たせるようにするためには、熟練と同時に省力化をすすめていく必要がありますし、同時に「もしもの時」でも困らないように、バックアップ人材を確保して一通りの家事ができるようにしておく必要も生じます。「もしもの時」は金で解決するのも一つの手段ですが、長期的になった場合や不具合が重なった場合なども想定すると、身近な人によるバックアップ人材の確保の方が確実でしょう。これは中小企業でも同じことが言えます。全体の様子を共有しておかないと「いざ」という時に困ります。

お互いに一通りの家事ができ、そのうえで得意領域や好きな領域を活かせるような配分をしたうえで、「これ、使ってみたらヨカッタよ」「こうしたら速く片付いた」などのカイゼン情報をやり取りしノウハウを積み上げていく。こうなると、おそらく一人よりも二人の方が、二人よりも三人の方が知恵も工夫も集まります。統合段階は、まさに「三人寄れば文殊の知恵」状態です。この状態になるには、条件として対等な会話が必要です。「こっちのやり方にあわせなさい」という同化段階の会話とは違う、対等な会話でないとお互いのオイシイところ取りができないからです。

今は、「家事ハラ」や「手伝い感覚」にガックリしたりイライラしたりすることがあるかもしれません。ですが、その共家事トラブルが、4つの段階のどこで起こっているかを把握することができれば、きっと打開策も見付けられるはずです。共家事トラブルを乗り越えて、ゴールである統合段階に至ることができれば、きっと仲の良い家族が誕生していることでしょう。アイデア2倍で手間半分にできる関係は、同時に楽しいことは2倍にシンドイことは半分にシェアできる関係ですから。

--(追記)--
上で示した、抵抗→同化→分離→統合という展開のオリジナルは、谷口真美著『ダイバシティ・マネジメント―多様性をいかす組織』白河書房(2005年)のP239〜です。谷口氏は企業の戦略としてD.Thomas & Elyの「同化、分離、統合」とDass & Parkerの「抵抗」をまとめ、「広義の『ダイバシティ・マネジメント』とは、抵抗、同化、分離、統合の4つのパラダイムをすべて含む活動を言う。(P263)」と定義づけています。僕は、これを家庭内の家事共同でも応用できると考え参考にしました。家庭も一つの組織です。そのマネジメントに多様性があるかないかは、その組織の発展や衰退に関わる要素といえます。経営学から参考にできることは、たくさんあるはずです。
 
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