日経プラス1(2022年6月25日)

2022年6月25日付け日経プラス1の裏面「すっきり生活」に記事が掲載されました。
ネット記事は↓
「家事分担、進めるコツ 完成度はズレを許容し助け合い」
で読めます。
ここ数年で、講演テーマとしてリクエストが増えてきた「家事シェア」について書きました。分量が限られているので、エッセンスの全部を書くことはできませんでしたが、導入として使えそうなことと、すぐにでも実現できそうなことの一部分について書きました。
担当さんとのやり取りの中で、「家事シェア」という言葉の捉え方にもいろいろあると再発見しました。
例えば、「シェアハウス」の「シェア」は、一軒の家を部屋ごとに分割して使う「分割」の意味で使っています。が、「カーシェア」の「シェア」は、車の前輪と後輪を「分割」するのではなく、車全部を時間によって「共有し合う」という意味で使っています。
家事シェアを「家事分担」と捉えるのは「シェアハウス」的な視点、
家事シェアを「家事共有」と捉えるのは「カーシェア」的な視点
だと分類できます。
おそらく、実際には、家事の種目別シェア=分担・分業からスタートして、やがて時間別シェア(例えば、平日の朝ごはんは夫が作り、晩ご飯は妻が作るなど)に移行し、最終的には家族全員がオールラウンダーとなり、一通りの家事を共有できるようになるのがゴールになると思います。
もう一点、「家事シェア考えるなら 3つのステップ」の内容も担当さんとのやり取りの中で、再認識がありました。3ステップは、
1.家族どうありたい? 将来像を共有
2.どんな家事を誰が?改めて把握
3.いざ実践 長い目で見守って
ですが、担当さんから「1.と2.が逆では?」という指摘がありました。
結論から言うと、どっちが先でも良いのですが、1.の将来像の共有は、一緒に暮らし始めた頃(≒出逢った頃?)に共有していたはずですが、多くの家族(カップル)の場合、月日の流れとともに、忘れていたり変化していたり…といったことが起こっています。その意識のズレを残したまま、現状把握の作業に入ると、得てして「損得」に流されがちになります。ちょっと遠い将来のビジョンを、改めて確認し合うことで、「じゃあ、そのためにはどうしたら良いか?」という方法論に取り掛かれます。
折しも今は2022参議院選の真っ只中。どの候補者も、景気回復、人口減に歯止め、暮らしやすい社会、環境保護など、大きな目標はほぼ同じです。本来であれば、どういう方法でそれを実現するか?という方法の差が、どの候補者を選ぶか?の基準になるはずですが、残念ながら、そこをアピールする候補者は多くありません。
家庭の場合は、逆に、家事の捉え方や方法、結果のズレばかりが強調されて、大きな目標(ビジョン)を見失いがちです。ですから、第1のステップとして、将来像の共有をあげました。
家の政(まつりごと)と書いて家政と言います。家事のマネジメントは政治的です。家事価値観の衝突を避けるために、家事専従者を設定しがちですが、それはまつりごととしては家事独裁体制です。日本は民主主義体制の社会ではあるはずですが、もっとも小さなユニットである家庭で独裁体制が存在するとしたら、もっと大きな集団で独裁的なことが行われていても、そう不思議ではないでしょう。
家事価値観の衝突を、対決ではなく、対話で解決できれば、「2人で家事をすれば、アイデア2倍、手間半分」という多文化共生的なメリットを活かせるはずです。「三人よれば文殊の知恵」も独裁では不可能。アイデアを対等に持ち寄り、歩み寄り、折り合いをつけて、それぞれが納得して家政を執り行う。その民主主義の基本が家事シェアでは?と考えます。
この家事シェアの記事をもちまして、日経プラス1での僕の担当は、しばらく休むことにします。
4年間で22回の登場でした。
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